自立した健康人になる!

消化のあとに一緒に覚える肝臓のはたらき【勉強キライな人のための衛生管理者・労働生理のお勉強】

勉強がキライな人のために
ゆるーく衛生管理者の
労働生理の解説をしています。

今回は
超多忙な肝臓についての
お話です。

血液界の裏ボス「肝臓」

肝臓、焼き鳥でいうところの
レバーです。

横隔膜のすぐ下にある
三角のとても大きな臓器です。



じつは、この肝臓
血液界の「裏のボス」のような
存在なんです。

まず血液界のボスと言えば心臓でしょう。

心臓が動くから
血液は全身に運ばれますし、
心臓が止まったら死ぬことは
小学生でも知っています。

心臓は
生きるのに必要不可欠な酸素を
全身に巡らせるためのポンプです。

しかし、酸素だけでは生きていけません。

栄養も必要です。



食事をして、消化して、
吸収された栄養素は
肝臓で加工や貯蓄されます。

さらに、肝臓は
血液にのって全身に回っては困る
有害なものを解毒してくれます。


ということで
心臓は血液循環を支配するボス的な臓器、
肝臓は血液成分を支配する裏ボス的な臓器
です。

肝臓の取引先は腸

肝臓がそんな重大な仕事しているのは
「腸」とつながっているから。

腸と肝臓をつなぐ血管を
「門脈」といいます。

この門脈は
小腸で吸収された栄養素が
肝臓へ行くための通り道。

ここを通れなかったものは
う〇ことして体外に排出されるため、
栄養素にとっては登竜のような存在です。

肝臓は、この門脈経由で
栄養を受け取っています。

さらに、うっかり吸収してしまった
毒までも引き受け
解毒してくれるという安心設計。

逆に腸は
肝臓で作られた胆汁があるから
脂質が消化・吸収できるという
WIN WINな関係です。

では、今あげた肝臓の3つの働き
・栄養の加工と貯蓄
・解毒
・胆汁の生成と分泌

を、詳しく見ていきます。

①栄養素の加工と貯蓄

3大栄養素のうち
腸壁から血管に吸収されるのは
炭水化物が消化されたグルコースと
タンパク質が消化されたアミノ酸です。

まだ勉強していない人は
こちらからどうぞ

ゆるーい図解付き。三大栄養素の消化を内臓とカタカナの雰囲気で覚える【勉強キライな人のための衛生管理者・労働生理の勉強】

では、門脈を通って
肝臓でどう加工されるか
グルコースとアミノ酸に分けて
みていきます。

グルコースのやりくり

グルコースは別名ブドウ糖。
つまり糖分です。

この糖分があるからこそ
脳やからだを動かすことができます。

エネルギー源、そのものです。

血液の中に糖分が十分にあるときは
グルコースは肝臓に貯蓄されます。

貯蓄するときは
グルコース同士がくっついて
グリコーゲンになります。
砂糖を角砂糖にした感じ。

血液に糖分が不足すると
貯蓄したグリコーゲンを崩して
グルコースに戻し
血液に流します。

炭水化物から吸収したグルコースは
お金のように
やりくりされているんですね。

アミノ酸の加工

続いて、アミノ酸。

消化の時にお話しした通り
アミノ酸はレゴみたいなものです。

組み立て方次第で
いろいろなカタチを
つくることができます。

肝臓では
そのアミノ酸の加工が行われており、
止血のときに使うフィブリノーゲンや
浸透圧のアルブミン、
免疫のグロブリンなどの
タンパク質を作り出します。

必ず覚える!血液の4つの成分と役割。さらに意外と出る男女差【衛生責任者・労働生理のお勉強】



さらに!

脳の唯一の栄養である
糖(グルコース)に変換することも
可能なんです!!

お金が足りなくなると
ものを売って
お金に変えるようなものですね。

この、アミノ酸から
グルコースをつくることを
「糖新生」といいます。



ちなみに、この、栄養素を
体に必要なカタチに変えることを
まとめて代謝といいます。

②解毒

2つめの肝臓のはたらき
「解毒」で有名なのは
アルコールの分解です。

腸で吸収されたアルコールは
栄養と同じく門脈を通って
肝臓にいきますが、
すぐに分解できないため、有毒なまま
心臓に行く血液に混ざっちゃいます。

それが脳にいって、脳がマヒ。
それが「酔う」です。

そのときは気分が良くなりますが
体にとっては「毒」ですので
休肝日を設けて
肝臓を酷使しないようにしましょう。

ほかにも
タンパク質の分解の途中で出た
有害なアンモニアを
無害な尿素に変えるなど
本当に大切な働きをしてくれています。

③胆汁の生成と分泌

3つ目の働きは
「胆汁の生成と分泌」です。

脂質の消化を助ける胆汁は
肝臓で作られます。

が、消化の勉強をした方は
「胆のうから出る胆汁が
 脂質の消化を助ける」ハズだと
混乱することでしょう。

じつは胆のうって
肝臓にくっついている
胆汁をためて濃縮する袋のことなんです。

「尿をつくる腎臓と
つくった尿をためる膀胱」と
同じような関係で

「胆汁をつくる肝臓と
つくった胆汁をためる胆のう」と
いうことです。

だから、膀胱も胆のうも
「臓」がつかないんですね!

ということで
胆汁の生成と分泌は
胆のうではなく、肝臓の働きです。

まとめとついで

過去問を見ると
肝臓の働きは?という問題より
心臓や代謝のところに
ひょっこり出てくるイメージです。

ぜひつながりの深い腸(消化)と
ともに覚えてくださいね。

最後に、覚えておくと安心な
「かんどうみゃく」について
お話しします。

肝臓には門脈だけでなく、
酸素を供給するための大事な血管が
通っています。

心臓からつながる
酸素いっぱいの血液が流れる血管
「肝動脈」です。

読み方は
そのまま「かんどうみゃく」ですが
実は体の中には
もう一つの「かんどうみゃく」が
存在するんです。

それは、冠動脈。



心臓が心臓のために
血液を流すための血管なので
心臓の上にクルっとなって
冠のように見える…のかな?

よく医療マンガに出てくる
バイパス手術はこっちです。



心臓のところで
ひっかけ問題として出ることがあるので
気を付けてくださいね。

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